対談〜梅実薬膳から考える健康な食事〜


梅実薬膳対談

我が国はこれまで前例のない速さで,世界的にも経験のない超高齢社会へと移行しています。社会保障費は国の一般歳出の50%を超えており,これからは健康であり続けることが最重要課題となっていくでしょう。医食同源,薬食同源と言われるとおり,食は体をつくり,体調を整えるための最も重要な要素です。そして日々の生活の中でおいしい料理に喜びを感じることも大切です。
新潟で食と健康にかかわりご活躍されている食のスペシャリストの皆さんに健康な食事と薬膳について対談していただきました。

※対談は2014年に作成したパンフレットの内容です。

 

高津もろみ氏

高津もろみ氏


高津
日本は少子超高齢化社会へと移行していますが,それがあまりにも急激なため,対応が追い付かない状況だと言われているようです。私も将来の社会保障制度に不安を感じていて,これからは健康であり続けることが私たち国民にとって最も重要な課題の一つになると考えています。私が薬膳を学んだきっかけも,幸せな生活の基盤は健康であり続けることだと考えたからです。
厚生労働省でも健康な食事の実践が課題となっていると思いますが,村山先生いかがでしょう。

村山教授
日本人の寿命が世界トップレベルである要因の1つとして,諸外国から日本食が注目されています。厚生労働省でも、日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討が行われていて,栄養バランスだけでなく、おいしさ、旬の食材、地場産物の使用なども考慮し,「健康な食事」を無理なく続けることが重要だとされています。

村山伸子教授

村山伸子教授


高津
薬膳でも地元の旬の食材を使うことは健康に良いとされていて,「健康な食事」としての方向は共通ですね。日々の食事にこそ食材それぞれの性質を熟知し,上手に活用していくことが大切だと考えています。食による健康づくりは昔から取り組まれ,永い歴史の中で先人の知恵と経験が料理体系となって「薬膳」として現在に伝えられています。ビタミン類の存在が知られる以前から,薬膳では食材に含まれるビタミン類の効用が知られていたかのように活用されていた例も多々あります。
近年,食材の持つ機能性成分の研究が盛んになっていますが,石黒先生,食材の機能性成分の働きとはどのようなものだとお考えですか。

石黒正路教授

石黒正路教授


石黒教授
新潟薬科大学応用生命科学部では食品の機能性について特に植物の成分の役割に注目して研究を行っています。植物に広く共通して含まれているため,当たり前であまり注目されていない,体内に慣れ親しんでいる成分,例えば多様なフラボン類などがあります。このような成分は恒常的に生体に晒されるため、生体側は感度を非常に落とし,車でいうとニュートラルの状態に保たれていて,異常があれば速やかに対応できる態勢になっていると考えられます。このような成分は偏った食事をすると不足することになりますので、体の変調に対して速やかな対応が遅れることになります。すなわち、不足する成分が他より多く含まれる植物を意識的に摂ることで体を平常な状態に保ち,変調に対応することができます。
薬物のような強い活性を持たない、このような役割を持つ植物を薬膳の中に組み合わせることによって、薬膳はさらに大きな役割を果たすものと期待されます。

高津
食材の持つ機能性成分は体調を維持していくうえで予防的な働きをするというお話は,季節や体質により食材を組み合わせ,体調を維持していこうとする薬膳の考え方に共通しています。食材の機能性成分の研究は今後ますます盛んになると思いますので,最新の研究成果を薬膳に積極的に活用し,普及していきたいと思います。

村山先生,今回私が提案した梅実薬膳の基本レシピに厚生労働省が進める「健康な食事」の視点で監修していただきありがとうございました。健康な食事としての基本となる栄養バランスについてお話をお願いします。

梅実薬膳

梅実薬膳


村山教授
栄養バランスは、個々の食材や料理を組み合わせた1食単位で表現されます。1食の中で栄養バランスの良し悪しを考え,食材や料理を組み合わせる必要があるわけです。今回の高津さんの基本レシピを主食,主菜,副菜に分類して組み合わせを考えた場合,カロリーも低めで脂肪も少なく,1食として栄養パランス、味のバランスがとれた食事として提供されると思います。個々の食材の機能性成分の効果や旬の素材の味をいかしながら旨味をきかせた個々の料理のおいしさとともに、まさに日本人の長寿を支える「健康な食事」として、私も亀田の料理店で楽しんでみたいと思います。

高津
健康であり続けることは,これからますます重要になります。健康維持に貢献できる新潟ならではの薬膳,亀田の梅実薬膳をはじめとする新潟市内8区それぞれの「新潟薬膳」を創造していきたいと考えていますので,今後ともご指導をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

対談者PROFILE



村山伸子教授

村山伸子教授


新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科教授
村山伸子(むらやまのぶこ)
日本公衆衛生学会 評議員、日本栄養改善学会 評議員、日本健康教育学会 評議員・編集委員、
日本国際保健医療学会代議員
研究領域:研究領域:地域栄養、栄養政策、国際栄養

 

 

石黒正路教授

石黒正路教授


新潟薬科大学・応用生命科学部 応用生命科学科・生物機能化学研究室・教授
石黒正路(いしぐろ まさじ)
新潟薬科大学・副学長
新潟市バイオリサーチセンター長
新潟バイオリサーチパーク株式会社 代表取締役社長
平成13年 日本薬学会第一回創薬科学賞受賞
研究領域: 有機化学、生物機能化学、分子モデリング

 

高津もろみ氏

高津もろみ氏


国際薬膳食育師
高津もろみ(たかつ もろみ)
「髙津薬膳料理教室」主宰 「食守の店 髙津」代表
新潟日報カルチャースクール講師
「にいがた薬膳」を提唱し,自然栽培農産物,天然醸造調味料などの良質な食材と身体に合わせた食べ方の普及に努める。
2014年6月 新潟市食文化創造都市推進プロジェクト事業 「亀田梅実薬膳プロジェクト」代表
2015年3月15日から「梅の里かめだ梅実薬膳と梅の花咲くまち歩き」企画を推進。